【ゆうゆうLife】障害年金 受給後の結婚・出産にも加算(産経新聞)

 障害年金を受け取っている人が結婚したり、子供を持ったりした場合、現行制度では障害年金に配偶者や子供への加算はつかない。加算対象になるのは、障害年金受給前の結婚や出産のみだ。障害者から「障害があっても子供を産んで育てていこうという気持ちは同じなのに」と不満が上がっているが、受給後の結婚や出産にも加算がつくよう法律が改正された。年金制度では受給後に発生した条件変更には対応しないのが一般的だが、例外的に加算が認められる。(佐藤好美)

 大阪府に住む無職、吉川清子さん(43)=仮名=は10年前、交通事故で乗っていた車が大破した。助かったものの、以来、いろいろなことがうまく回らなくなった。夫の助けが得られず、独力で小学生の娘を育てていたが、仕事が続けられなくなった。パニック障害になって何回も救急車で運ばれ、病院で精神疾患と診断された。それからは精神安定剤やけいれん止めを飲む日々だ。

 何もかもいやになっていたとき、市役所で生活保護を受けるよう勧められた。生活保護を受けることに抵抗があった吉川さんは「体が動かないわけではないから、がんばる」と言ったものの、生活が立ちゆかない。市の職員から「じゃあ、障害年金の手続きをしてみる?」と聞かれ、受給申請した。

 結局、年金の障害等級で2級が認められ、障害基礎年金を受け取れるようになった。娘を扶養していたので加算もついた。「仕事もあまりできなかったし、ありがたかったです」と振り返る。

 2年前、次女が生まれた。しかし、窓口で次女への加算について聞いたところ、「年金をもらい始めた後に生まれた子については、年金制度では面倒を見られない」と説明された。吉川さんは釈然としない気持ちだ。

 昨春、長女は高校を卒業し、働き始めた。長女が対象だった加算は昨年3月でなくなった。吉川さんはそれまで、2級の障害基礎年金約79万円と子供の加算約23万円と合わせて102万円の年金を受け取っていたが、加算がなくなり、障害年金は約79万円になった。次女(2)の加算はつかないままだ。

 吉川さんは言う。「障害者になる前に生まれた子も障害者になった後に生まれた子も、がんばって育てていこうと思っている。同じ気持ちで育てていて同じようにお金もかかるのに、障害者になった後に生まれた子には加算がつかないなんて、まるで『障害者は子供を持ってはいけない』と言われている感じがします」

                   ◇

 ■来年4月の施行へ 数万人が加算対象

 現行制度では障害年金に「子の加算」がつくのは、障害基礎年金を受ける前から子供がいたケースだけだ。同様に「配偶者加給年金」がつくのは、障害厚生年金を受け取り始める前に結婚していたケースだけ。いずれも事後の出産や結婚に加算はつかない。

 このため、例えば生まれつき障害があった人が20歳で障害基礎年金を受け取り始めた場合、受給後に結婚して子供を産んでも子供は「子の加算」の対象にならず、障害者らから「不公平」との声が上がっていた。

 しかし、今国会で、結婚や誕生のタイミングを問わず、扶養する配偶者や子供がいる点に着目し、障害年金に加算をつけようという「国民年金法等改正案」が可決、成立した。

 厚生労働省は「年金制度は保険事故が起きたときの所得保障をするもので、受給後の状態変更については対応していない。これについて、受給権発生後の生活状況の変化にも所得保障を行ってほしいというご意見があり、議員立法で提案されたようだ」と解説する。

 一般に、年金制度では受給後に生じた条件変更による増額や加算は認められていない。例えば、老齢厚生年金の受給者には一定要件の配偶者がいると、“年金版扶養手当”として「加給年金」と「特別加算」が支給される。だが、老齢厚生年金を受け始めた後で結婚しても、「加給年金」と「特別加算」は支給されない。今回の法改正でもこの点に変更はない。改正になるのはあくまでも障害年金の加算のみだ。

 障害年金の受給者は平成20年度末に約182万3000人。厚労省は来年4月の施行を目指しており、法案成立で新たに数万人が加算対象になると見込んでいる。

                   ◇

【用語解説】障害年金

 障害年金は病気やけがで障害を負ったとき、障害の状態が一定程度に該当すると支給される。国民年金に加入していた人や20歳前に障害を負った人に支給されるのが障害基礎年金。厚生年金に加入していた人には障害厚生年金が上乗せされる。年金受給年齢になった後で生じた障害には障害年金は支給されない。

 障害年金を受けるには条件があり、(1)初診日に国民年金か厚生年金の被保険者であること(2)初診日の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の保険料納付済み期間がある(免除期間も含む)か、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がない(3)障害認定日に年金の障害等級表の1級または2級の障害の状態になっていること−などとなっている。

NPOなど先遣隊派遣=相次ぐ医療支援の動き−中国青海省地震で(時事通信)
自殺未遂で入院、高額な医療費… 長男刺殺の母(産経新聞)
小中学校 市町村に教員人事権 文科省、移譲認める(産経新聞)
ボンバル機が不具合で引き返し(産経新聞)
30、40歳代引きこもり珍しくない 「高年齢化」にどう対応するのか(J-CASTニュース)
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。